町野さん

株式会社インターテック 代表取締役 町野文孝

<設立の歴史と1度目の倒産の危機>

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保険営業マンだった私が提案の幅を広げたくて、1990年、共同代表でファイナンシャルステーションを設立。

 

当時、商品の比較提案はおろか、保険以外の提案なんてできないのが当たり前な中で、保険だけではなく、証券・債権・税務を含めた法人向けのトータルソリューションサービスで大成功。34歳で手数料5億円、社員15人。お金のためではないプロの提案をする専門家集団として。銀行、大手会計事務所など、100社以上と提携し、紹介がひっきりなしに来るような状況まで拡大した。

 

しかしそこで1度目の倒産の危機が訪れる。それは共同代表だった相方が、銀行を騙してお金を引っ張って逮捕。同じ方向を目指してやってきたはずなのに、一番の理解者と思っていた共同代表から裏切られる。気を取り直して頑張ろうにも、まわりは逆風の嵐。

 

共同代表が一人でやっていただけなのに、まわりはそのような目で見てくれる訳もなく共犯を疑われた。その結果、今まで紹介をいただいていた提携先もほとんどなくなり、保険会社からも業務廃止をくらった。

 

もらえる予定だった手数料ももらえなくなり、お客様も、提携先も、社員も去っていった。一環の終わりかと思った時に、紹介だけでなく出資までして助けてくれる人達がいた。それが今の最重要提携先でもある2社の会計事務所。涙が出るほどうれしかった。

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その会計事務所を頼って、大阪の拠点を名古屋に移して再始動。37歳、社名を「インターテック」と変更して再出発。人もお金もなかったけれど、どんな事がおきても、自分が営業で頑張ればなんとかできるという根拠のない自信を持って社員10人・手数料3億円のところまで立て直すことに成功する。

 

<稼いでは大きな失敗の繰り返し・何度も訪れる倒産の危機>

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しかし会社は頭打ち。未経験者を雇っても教育できない、経験者を雇っても会社として大切にしていた事をやってくれず長続きしない。それを補うために社長がマネジメントをしないで、営業に出て稼ぐ。そのくりかえしで悪循環になっていた。

 

ただ同じ会社にいるだけで心はバラバラ。その状況を改善したくて、形が決まっているものを売るISO事業に取り組むも、思っていた以上に売れない事に加え、ISOブームの終焉と共に大失敗。何千万円もの投資をしてシステムを作ったものがパーになる。

 

次は個人向けの提案なら新入社員でもできるだろうと、FP会社として先駆的な取り組みをしていた会社とFC業務提携を行ってセミナービジネスを展開するもさらに失敗。セミナールーム開設等の投資がさらにパーになる。

 

チャレンジしても失敗し、自分が稼げばなんとかなると思ったけれど、資金繰りが追い付かない。気がつけば会社は債務超過状態。会社の資金繰りの悪さと、社員の営業力のなさ、ストレスが溜まって、15人いた社員の8割が辞め、残された社員の仕事量は増え、先は全く見えない状態。

 

50歳。会社は倒産寸前の中で、私は数字を取り戻そうと営業で必死だった。そんな中で耳に違和感が出てきた。我慢して営業するも、車の運転中に意識が飛ぶ位の耳鳴り・めまいが起こった。診察の結果、ストレスからくる突発性難聴。ムリがたたって症状改善が見込めない状況まで悪化。めまい、吐き気、意識が飛ぶ症状が表れ、車の運転も電車の移動もできなくなった。入・退院の繰り返しで、普通の職業人生活が送れなくなった。大好きだったお客様への提案も、一生懸命頭を使うと病気が顔を出してしまってできなくなった。

 

業務の中心を担っていた社員は全員辞めてしまって、残ったのは2人の入社間もない新卒社員と、事務員、パートスタッフのみ。会社の数字の9割以上を稼ぐ自分が営業に出れなくなり今度ばかりは倒産を覚悟した。しかし、今まで苦しい時にお世話になったお客様、提携先に迷惑かける事はなんとしてでも避けたい。倒産してしまえば、今までやってきたサービスができなくなってしまう。

 

初めて社員が一人前になることに活路を見出すしかない状況に追い込まれた。今までは最悪自分が稼げばなんとかなる、なんとかできるという営業としての絶対的な自信で凌いできたが、今度はその方法が取れない。会社設立以来、一番の苦悩と葛藤が襲った。

 

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頑張り方を180度変える。「うまくいかなかったら俺が仕切る。」のではなく、「相手に感謝し、変化・成長を信じ、物事を成し遂げる」覚悟を決めるのは正直大変だった。恥も外聞もすべてを捨てて、もう一度頑張ることに決めた。再婚したばかりの16歳下の奥さんに頭を下げてお金を借りた。銀行や知り合いに借入れをしてまわり、残ったのが訳のわかっていない新卒社員に全てを賭けた。懸命に営業活動に取り組んでくれている新卒社員や、それを懸命に支えてくれているサポートスタッフ。「この人たちと働きたい。」と思えた、残ってくれたメンバーだからこそ、倒産の危機を逃れ、何度目かのスタートがきれる状況を取り戻せた。そして、そこに新しいメンバーも加わってくれた。

 

<何度もの倒産の危機を乗り越えたからこそ成し遂げたい夢>

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こんな経験をしてきたインターテックだからこそ言えること。会社を潰さないために一番大切な事は、「この人たちと一緒なら頑張れる!」と思えるような仲間をつくる事。自分自身の未熟さもあって、今までたくさんの社員を辞めさせることになってしまったけれど、今のメンバーと一緒なら、どんな事があっても乗り越えていけそうな気がしている。会社を潰したくないと思ってくれている仲間、会社を残したい、成長させたいと本気で思ってくれている仲間がいたら、会社は潰れない。

 

会社は生き物だから今後もきっと色々な事がある。内部留保やら、事業の多角化やら色々なテクニックもあるけれど、「倒産するか・倒産しないか」の最後の砦になるのは、社長に「どんなことがあったとしても、会社を続けさせると思える意思」があるかどうか。そして、それを後押しするのは、社長に関わっている仲間、同僚、同志。

 

インスパイアクラブ

会社で働く社員が、ワクワクするような未来を一緒に考える。社員の子供や身内を入社させたい・継がせたいと思えるような会社になるようにサポートする。つまらない事でつまずかないように、また、何が起こるかわからないから不安というものを、「これを備えておけば大丈夫」と思えるようにしていく。そのために保険や金融商品を活用する。そして、新しい事に自信を持ってチャレンジしていくサポートをする。

 

どこの会社に行っても、「仕事なんて嫌」と言っているのは寂しいし、自分達もまだ十分にはできていないけれど、苦しい中でも、一つの目的に向かって一緒に頑張れるような職場を作り上げたい。

 

今、自分たちもそのモデルになれるように一歩一歩進んでいる最中です。社員が輝く会社づくりのために、共に歩んでいきましょう!

 

 

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