最近よく取り上げられている

ベーシックインカムや信用(評価)経済。

 

今、仕事やお金で苦しんでいる人ほど、

「ベーシックインカムになってくれたら、社会のムダが是正されて豊かになれる」

「働かなくても生活できるようになったら幸せになれる」

と単純に思っている人も多いけれど、

おそらくそれは違うような気がする。

 

豊かである事・幸せである事と、

仕事の忙しさや、お金の多い少ないは言うほど関係ない。

 

今はなんとなく、幸せを感じられていないのは、

会社や仕事やお金のせいにされやすいけれど、

本当の課題は別のところにあるように思う。

 

 

それはきっと、ゲームや娯楽を考えるとわかりやすい。

 

仕事が忙しくて遊ぶ時間がないと不満を言う人はいるけれど、

それは忙しい中でたまにやれるからこそ楽しいだけ。

 

「3ヶ月間ずっとやれ!」

とゲームや娯楽を朝から晩まで強制されたら、

ほとんどの人が嫌になる。

 

それと同じように、

「今から1年間、仕事や仕事に相当する作業は一切してはならない」

「今から1年間、支給される100万円を毎日使い切らなければならない」

という状況になったら、仕事をしたくなるし、お金を使うのが嫌になるはず。

 

仕事がキツいと不満を言っていたサラリーマンが、

定年になると、すぐに退屈で仕方がなくなって、

「仕事があった昔はよかった。」

なんて言い出す事は実際よくある。

 

会社や仕事の不満ばかり言っているような人は、

ベーシックインカムが導入されたとしても、

不満を言う対象が変わるだけで、

幸せ度合いはきっとあまり変わらないような気がする。

 

 

さらに言うと、

ご先祖様や多くの人達に努力によって

築き上げられた今の環境に感謝できないとしたら、

心が荒んでしまっているのかもしれない。

 

実際に、今の何気ない暮らしを維持するために

国としてかかっているコストは膨大。

 

国に黒字をもたらすのは、

年収ベースで900万円以上の人だという計算もある。

 

「格差是正!」

「金持ちはもっと税金払え!」

と社会に価値を提供してお金を稼ぐ人に対して文句を言う人はいるけれど、

ある意味それはとんでもない事。

 

一部の稼いでくれる人が

とてつもない税金を納めていてくれるおかげで、

今の生活が成り立っている。

 

それは会社でも同じ。

 

あえて伝えていないだけで、

半分以上が赤字社員なんて会社はザラにある。

 

社長やトップセールスマン・スーパー事務員etc、

一部の人が給与以上の成果・利益を会社に収めていてくれるおかげで、

会社の経営が成り立っている。

 

彼らを責めて、

もし会社を辞めてしまおうものならば、

海外移住でもしてしまおうものならば、

残された人の生活は、より苦しいものになってしまう。

 

 

仕事やお金の事で苦しんでいる人ほど、

・仕事は苦しいもの

・苦しんででも仕事でお金を稼がなければ生活できない

と勘違いしているように思える。

 

しかし、仕事の本当の価値、その本質はきっと、

誰かの役に立てる喜び。

 

その喜びが味わいにくくなっている事が、

仕事やお金に対する不満を言う人を生み出す

原因になっているかもしれない。

 

なぜなら、その喜びはきっと、

モノが足りなかった昔は

もっと簡単に手に入れる事ができていたもの。

 

お父さんは、働いて給与・ボーナスを家に持って帰ってくるだけで感謝された。

お母さんは、普通に育児・家事をするだけで感謝された。

 

なぜなら、それが大変だったから。

だからこそ、感謝された。

 

しかし、便利になった事で、感謝されにくくなった。

女性でも働けるようになった事で、

欲しいものが安く簡単に手に入るようになった事で、

お金を稼ぐ事に対して感謝されにくくなった。

 

今後、人工知能やロボットが人間の仕事を代わりに行ったとして、

働かなくても生活できる社会になったとしたら、

さらに「誰かの役に立てる喜び」は味わいにくくなっていく。

 

 

今の国や会社に対して、

行動しないで不満ばかり言っているような人は、

「仕事のせい」「上司のせい」「お金がないせい」

だと言い訳ができなくなる。

 

ベーシックインカムが導入された社会や、

信用(評価)経済だと余計に苦しくなるのかもしれない。

 

 

普通の事では「誰かの役に立てる喜び」を味わえなくなった時、

彼らは何をして「誰かの役に立てる喜び」を見出す事になるのか?

 

人が誰もお金のために働かなくなったとしたら、

休日・深夜営業する店はなくなるとか、

誰もが嫌がるような仕事をする人は減ると言われる。

 

それでも「誰かの役に立てる喜び」に飢えた人が、

誰かに喜んで欲しくて、

やりたくなってしまうような気がする。

 

 

きっといつか辿り着く、

必要なモノやサービスが必要なときにタダで手に入る社会。

それは確かにユートピアな経済システムかもしれない。

 

しかし、本当にそれができあがった時、

もしかしたら今以上に、

心が満たされない人は増えてしまうのかもしれない。