「露天風呂」と聞くと心がときめく私ではあるけれど、

露天風呂のあるスーパー銭湯が近所に当たり前のようにある今の状況。

 

その状況しか知らない若い人達には、

露天風呂にときめきは感じられないし、

露天風呂の価値がわからないように思える。

 

ケーキについても同じ。

子供の頃、生クリームかと思いきや、まずいバタークリームでショックを受けたり。

食べたくても高級だとか、太るとかの理由で我慢していたり。

 

そんな経験があるからこそ、

「ケーキ=ご褒美」として心がときめく。

 

 

きっと欲望の源は抑圧にある。

 

年配の人にコレクターが多いのも、

きっと「ない」状況を経験した事で、

所有する喜びを感じられるようになっているから。

 

言うほどモノに困った経験がなく、

安く便利にシェアし合えるのが当たり前な状況しか知らないある若い人達には、

本・DVD・プラモデル・アクセサリなど

使わないものまで必要以上に収集する人の気持ちはきっと理解できないはず。

 

 

会社でも、

若い人達に対して、

「やる気がない」

「積極性が足りない」

などとマネジメントに悩む年配の上司は多い。

 

でもそれは当たり前。

 

なぜなら若い人達は

安い給与でもそれなりに豊かな生活ができるから。

物質的にはもう既に満たされている傾向にあるから。

 

昭和の企業戦士的に、

お金・会社のためにそこまで頑張る必要性がないから、

簡単に会社もやめられる。

 

もし会社で若い人達を、

上司が思う”やる気のある状況”にさせたいと思ったら、

何らかの抑圧を経験させる事が近道なのだろうか?

 

パワハラとかブラック企業と言われるリスクはあるけれど、

地獄の研修も、短期間で強制的に抑圧を経験させる1つの手段。

 

好き嫌いは別にして、

今もなお地獄の研修にニーズがあるのは、

ある一定の効果があるから。

 

朝早くから夜遅くまで追い詰められ続けられる非日常。

 

理不尽な経験をするからこそ、

日常にありがたみを感じられるようになる人もいる。

 

涙を流して感動して、

達成する喜び・仕事の喜びを実感できる人もいる。

 

きっと、

「スイカに塩を振ると甘味を感じやすい」

というのに似ている。

 

登山、マラソン、イベントの運営、プロジェクトでもいい。

通常業務外で何らかの抑圧を経験させる事は、

マネジメントやチームワークにプラスに作用しやすいように思える。

 

 

 

お腹いっぱいにご飯を食べられる事に大きな幸せを感じられる人は、

極度の空腹を経験した事のある人。

 

ただ普通に生きている事に大きな幸せを感じられる人は、

ドン底の不幸を経験した事のある人。

 

大経営者になるためには、

「投獄・倒産・大病」

のどれかが必要だと言った人もいるけれど、

あながち間違ってはいないのかもしれない。

 

一生生活に困らないくらいにお金を稼いでもなお、

多額の借金をして投資して、

リスクを取って攻める事ができるのは、

何かに満たされていないからこそ。

 

地域で一番では満足できず、

日本で一番、世界で一番になるために

さらにチャレンジできるのは、

何かに満たされていないからこそ。

 

バカと天才は紙一重。

 

何らかの抑圧から来る極度の渇望があるからこそ、

リスクを取ったクレイジーなチャレンジができる。

 

 

そう思うと、

もし自分が大成功しようと思ったら、

子供や部下を大成功させたいと思ったら、

強制的に強い抑圧を経験する(させる)事が近道なのだろうか?

 

家が貧乏だったり、

家庭が大変だったりした人ほど、

成功する動機が明確。

 

それがお金やモノとは限らないけれど、

何もかも満たされている人には

言うほど動機がないために動けない。

 

抑圧された満たされない環境が人を育てる。

 

ムチャ振りや厳しい現実に対して、

逃げられずに立ち向かうしかない環境は人の成長のチャンス。

 

しかし、チャンスが訪れても

それを掴む覚悟がなければ意味がない。

 

現実的に人には逃走本能がある。

 

抑圧を与えようとしても、

逃げられてしまって終わり。

 

厳しい状況に追い込まれても、

本人にそれを前向きに受け入れて

乗り越えられるだけの器がなければ、

またその親や上司がそれを見守るだけの器がなければ、

せっかくの成長の機会をみすみす逃させる事になる。

 

 

どれだけ素晴らしい研修も、

受け手にその気がなければ逆効果になりかねない事を考えると、

抑圧を無理に作ろうとしてもうまくいかないのかもしれない。

 

他人をコントロールしようとして作られたものは、

不自然なので長続きしない。そのうち崩れる。

 

無理に作ろうとしなくても、

何かの抑圧は自然にやってくるもの。

 

それは苦しい体験かもしれないけれどきっと大丈夫。

 

決断に悩んだ時、

右を選んでも左を選んでも幸せ。

 

成功も失敗もどちらも幸せ。

 

更に言えば、

不幸に思えたとしても幸せ。

 

それさえわかっていれば、

もしかしたらわかっていなくても、

何もかも大丈夫。

 

 

世界中のいろんな人が入り乱れ、

一般常識が崩れ、

カオスになっていく今後。

 

禁止するからこそやりたくなる事を思えば、

どんどん禁止する事は減っていく。

 

無理してコントロールしようとして、

今まで不自然に守っていたものが、

限界を超えて崩れていく。

 

お金やモノに関する常識・考え方もこの先ガラリと変わっていく。

 

キャッシュレス化されて現金がなくなっていく社会。

お金以外の価値がシステムによって見える化されていく社会。

さらに世界中と繋がる社会。

 

想像がつかないからこそ面白い。

 

抑圧を乗り越える機会にワクワクしながら、

この先の変化を楽しんでいきます。