「最近の若者のコミュニケーション能力は酷い!」と言う人はいるけれど、
「そう言うあなたのコミュニケーション能力は高いんですか?」
と聞かれると困る人がほとんどではないだろうか。
それほど、コミュニケーションは奥が深い。
まず相手が言っている話と、実際に考えている事は違う。
「お金がない」「時間がない」という定番の断り文句はあるけれど、
そう言ってくる人はたいてい、
お金ができても、時間ができても、また違う理由で同じように断ってくる。
その断り文句の本当の意味は、
「あなたの説明では、お金を払ったり、
時間を費やしたりするほどの価値を感じなかった。」
という事。
相手もウソを言った訳ではないけれど、
表現しにくい感情を、短時間で、人によってとらえ方が違う言葉で伝えるのは難しい。
だから、言われていない事を察する「空気を読む」事が求められる。
社内のマネジメントにおいても注意しなければいけない。
「競合よりも値段が高いから売れないんです!」
「お客様はこの時間忙しいので、来月にまた訪問します!」
と、営業マンが本当ではない報告をしたがるのは、
「売れなかったのは自分のせいではなくて、商品・お客様が悪いんです!」
という責任転嫁が含まれている。
会社では、こんな本当ではない報告にたくさんの人が振り回されて、
たくさんのムダな仕事が行われている。
私もたくさん失敗してきて、ほんの少しだけわかった空気を読むポイントは、
「何を言ったか?」ではなく、「なぜ言ったか?」に注目する事。
困っていると言っている人は、困っているポイント自体がズレている事が多い。
だから、その困り事を聞いて改善したところでうまく行かない。
「集客に困っている」と言われるけれど、
それは集客の仕方の問題ではなくて、
そこに行きたいと思われるほどの魅力がないor伝えられていない事の問題かもしれない。
「求人で応募が来ない」と言われるけれど、
それは採用の仕方が問題ではなくて、
その会社で働きたいと思われるほどの魅力がないor伝えられていない事の問題かもしれない。
「社員が給与で不満を持っている」と言われるけれど、
それは給与の金額の問題ではなくて、
給与が高くないとやっていられないほど仕事が楽しくないor伝えられていない事の問題かもしれない。
そしてこんなすべての困り事は、ただ目の前に起きた現象であって、
本当に解決すべき問題はきっと、そんな目の前の現象を前向きにとらえられない心の問題。
「今、◯◯でうまくいっていないんだけど、それを社員が頑張って解決しようとしてくれるのが嬉しくって・・・」
と困り事のはずなのに、それを嬉しい事のように伝えてくれる社長もいる。
まわりに感謝して、仕事を楽しむ事ができていれば、
どんな困り事であっても、意外とワクワクした前向きな気持ちでとらえられるのかもしれない。