「ワクワク楽しく仕事をしよう!」

「みんな仲良く仕事をしよう!」

などと言ってくれる会社・上司は

素晴らしいと思われているかもしれない。

 

しかし現実的に、

組織でそんな目標を掲げても、

共有・達成は意外に難しいというのが実感。

 

なぜなら、

「ワクワク楽しく」

「みんな仲良く」

というのは

人それぞれに基準が違う

感情的で曖昧なものだから。

 

それは上司が部下に、

「本気で仕事しろ!」

「しっかりやれ!」

と叱っても意図が伝わりにくいのと似ている。

 

上司が仲良く楽しくやっていると思っていても、

部下からは裏で

パワハラ・セクハラ・ブラック企業と思われている事もある。

 

「楽しい」「ワクワク」「仲良く」などの

感情的な表現は相手と共有する事が難しい。

 

 

よく考えると、

本当にいい会社・優秀な上司は、

結果としてそうなっているだけで、

「ワクワク楽しく仕事をしよう!」

「みんな仲良く仕事をしよう!」

なんて曖昧な指示をしないのではないだろうか?

 

実際、

本当にワクワク楽しんでいる真っ只中は、

夢中になりすぎて、のめり込みすぎて、

「今楽しんでいる」

という事実さえ認識できない。

 

人と仲良くしている真っ只中は、

「この人と仲良くしよう」

なんて思っていない。

 

「ワクワク楽しく仕事をしよう」

「この人達と仲良くしよう」

と思って仕事をしても

なかなかそこには辿り着けない。

 

さらに言えば、

本当にワクワク楽しく仕事ができていたら、

本当にみんな仲良く仕事ができていたら、

そんな事を言う必要さえないはず。

 

そんな曖昧な感情的な何かを共有するために、

使われているのが、

困難の先にある理想やゴール。

 

最初は面倒だと思っていたはずの文化祭が、

いつの間にかワクワク楽しいものに変わっているように、

嬉しい感情はそこに向かうプロセスの中で生まれるもの。

 

そして、人も組織も、

難しい仕事がある時ほど、

協力し合って仲良くなる。

 

例えば、

母親が病気で大変な状況になれば、

仲が悪かったはずの子供同士でも、

適材適所で家事を分担して協力し合う。

 

本気だったり、ドキドキ感だったり、

なんとかうまくいった時の達成感も、

何かに取り組むそのプロセスの中にあるもの。

 

「ワクワク」「楽しい」という感情も、

それを目指してもなかなか手に入らなくて、

後で振り返った時に感じられるもの。

 

会社で言うなら、

喜ばせたいお客様であったり、

新商品・サービスの開発であったり、

なんとか解決したい社会問題であったり。

 

自分達の可能性が試されるほどの

立ち向かうべき困難があってこそ、

ゴールに辿り着くまでのプロセスで、

結果として、ワクワク楽しく、

みんなで仲良くできる仕事になっている。

 

 

きっと、いい会社というのは、

従業員にとってやりがいのある

目的・目標やその環境を提供できる会社。

 

きっと、優秀な上司というのは、

部下がやる気になれる仕事・環境を

作って提供できる人。

 

それは、

「他の会社では技術的にできないって言われた仕事なんだけど」

とその背景を伝える必要があるかもしれない。

 

「何をいつまでに、この品質でお願いします」

と具体的に仕事を説明する必要があるかもしれない。

 

もしかしたら、

何かを求めて困っているお客様を目の前にしたら、

たいそうな目的・目標はおろか、

言葉さえいらないかもしれない。

 

便利になって、豊かになって、

誰かの役に立てている実感が味わいにくくなっている今、

自分が得意な何かを活かして、

誰かに喜んでもらえる仕事が

社会的に強く求められているような気がする。

 

 

人は頼られると喜ぶ。

誰かの役に立って喜んでもらえると嬉しい。

 

従業員が暇になると

本当は喜んでもいいはずなのに、

楽しめなくて退屈そうにするのは、

仕事自体に楽しみがあるから。

 

職人さんに

「●●さんにしか頼めない難しい案件なんだけど」

と言うと、口では、

「また面倒くさい仕事取ってきたんですか!?」

と言いながらもどこか嬉しそうにする。

 

営業マンは、

自分の力を発揮できる

訪問先があると喜ぶ。

 

飲食店のシェフは

自分の腕を発揮して

料理をする機会があると喜ぶ。

 

それが多すぎてもダメ、

少なすぎてもダメ。

 

そのバランスは難しいかもしれないけれど、

仕事自体は人を喜ばせるステキな機会。

 

人の役に立ててお金までもらえる素晴らしいもの。

 

「仕事は苦しいもの」

ととらえて、

従業員を気遣いすぎてしまうと、

仕事本来の喜びを見失う。

 

 

 

便利になって、豊かになって、

それでも心が満たされないのは、

本気で夢中になれる趣味や仕事がなくて、

力が有り余って退屈だから。

 

従業員のために

簡単に稼げるしくみを作らなければいけないと

会社・上司が甘やかしすぎた結果、

仕事をする上で大切な想いが

抜け落ちてしまった傾向にあるような気がする。

 

それぞれの会社・仕事にあるはずの

困難を乗り越えた先にある理想やゴール。

 

感情が揺さぶられるやりがいを

もっと見出していきたいです。