伝えたい事が伝わらない。

 

多くの人が悩んでいるはず。

 

でもそれは

ある意味当たり前。

 

なぜなら、

伝えたい事が伝わるかどうかは、

伝える側だけでなく、

受け取る側の影響も大きいから。

 

 

どんなに伝えたい事でも、

どんなに上手に伝えようとしても、

相手にとって都合が悪い事なら、

相手はどうにかして逃げようとする。

 

例えば、

禁煙させようとする奥さんと

タバコを吸い続けたい旦那。

 

免許返納させたい娘と

車を運転し続けたい父親。

 

野菜を食べさせたい母親と、

野菜を食べたくない子供。

 

別れたい彼氏と

別れたくない彼女。

 

儲かる仕事をなんとかさせたい上司と、

納期の厳しいやりたくない仕事から逃げたい部下。

 

至るところでお互いが、

「わかってくれない」

と言い争っている。

 

 

特に、

相手と言い争いになるのは、

「理屈 vs 感情」

の構造になっている時。

 

理屈で動く人が

健康のため、将来のため、目標達成のため etc

どれだけ正しさを主張して伝えても、

感情で動く人は感情的に拒絶する。

 

感情で動く人も、

社会人になると、大人の対応で、

「嫌だからやりたくないんです」

と本音を言わずに、

それっぽい言い訳でオブラートに包む。

 

でも結局、

「感情的にやりたくない」

がベースにあるので、

理屈で動く人が何を言っても、

できない理由で言い訳されて、

聞いていないフリでうやむやにされて、

なかなか前に進まない。

 

 

理屈と感情は違う土俵。

 

両立はできるけれど、

別の話なので、

同時に考えようとすると相性が悪い。

 

理屈で、

わかりやすく具体的な方法を伝えても、

「だってやりたくないんだもん」

「そんな事言われても、嫌なものは嫌なの」

と感情的に訴えられると、

理屈で動く人ほど、

どうしていいかわからなくなる。

 

会社でも、

法律を遵守していても、

社員にハラスメントやブラック企業と

非難されるのは感情的な問題。

 

明確なルール・数字ではなく、

目に見えない&コロコロ移り変わる

本人の感情をベースにやりとりするのは

理屈で動く人にとっては大変。

 

感情で不満を言う相手に、

「どうして嫌なんですか?」

と聞いたって、

好き嫌いに理由はない。

 

嫌な原因も、

具体的にどうしたらいいかも、

聞かれた本人にだってわからない。

 

あえて答えるなら、

「そう思ったから」

だけど、

そう答えたところで伝わらない。

 

理屈ではなくて感情の問題だから、

うまく答えられないのは当たり前。

 

 

感情で動く人が、理屈で動く人に、

「だってワクワクするじゃん!」

「めっちゃいい感じなの!」

と感情的に訴えても、

そこに理屈のスイッチがなければ伝わらない。

 

理屈で動く人が、感情で動く人に、

メリットを伝えても、

どんなにわかりやすく具体的なやり方を伝えても、

そこに感情のスイッチがなければ伝わらない。

 

理屈で動く人からすると、

「俺の何が悪いんだ!」

「仕事なのになぜやってくれないんだ!」

と訳がわからなくて混乱してしまいがち。

 

でもそれは感情的に動いている人も一緒。

 

「嫌だと言っているのに、どうしてわかってくれないの!?」

と同じように思っている事が多い。

 

お互い何を言っても

ムダに思えるような状態になる。

 

 

 

そんな相手に伝わるように伝えるには、

感情に理屈を押し付けるのではなく、

理屈に感情を押し付けるのではなく、

相手の感情or理屈にチューニングする事。

 

同じ土俵に乗っかって

コミュニケーションを取った方がスムーズ。

 

「嬉しい・楽しい・大好き」

などの感情で動いている人には感情で。

 

理屈で動く人にとっては

よくわからないかもしれないけれど、

「これとこれ、どっちが好き?」

「この仕事はときめく感じする?」

と、相手の感情に寄り添って進めれば

スムーズに伝わりやすい。

 

また、

「お金・メリット・費用対効果」

などの理屈で動いている人には理屈で。

 

自分の感情を無理に伝えようとせず、

相手が理屈で納得できるように持っていけば

スムーズに伝わりやすい。

 

 

ただ、それさえも、

伝わるかどうかを決める半分の要因は

受け取る相手次第。

 

たとえ伝え方が下手でも、

相手にとっていい話は

一生懸命聞こうとする。

 

かと思えば、

いい話でも

嫌いな人の話は聞かない人もいる。

 

たとえその場では伝わらなくても、

相手が一生懸命受け取ろうとしていてくれたら、

わからない事を聞いたり、

調べたりしてくれるので

伝えたい事はなんとか伝わる。

 

逆に、

どれだけ素晴らしい伝え方をされても、

ズル賢い人は、

わからないフリをしているケースもある。

 

相手に伝えたい事が伝わらないのは

伝える側の伝え方の問題もあるかもしれないけれど、

受け取る相手がそのメッセージを

受け取りたくないと思っていたら伝わらない。

 

 

コミュニケーションは結局、

伝わる人には伝わるし、

伝わらない人には伝わらないものなのかもしれない。

 

100%伝えようとか、

全部を伝えようとすると行き詰まる。

 

どれだけ正しい事であったとしても、

相手は相手自身の過去の経験で正しさを判断する。

 

自分の中の常識と違う事は

すべて間違いだと非難する人もいる。

 

正しい理屈が伝わるかどうかは、

それを正しいと思えるだけの

相手の知識・教養に左右される。

 

また、

どんなに面白いと思った事でも、

相手にとって面白いかどうかは相手次第。

 

多くの人にとって

面白いと思われるものでも、

そんな気分じゃない時もある。

 

伝わるかどうかは、

相手の感情の状態に左右される。

 

それを自分の問題と思ってもいいけれど、

それで自分を責めると苦しくなる。

 

 

そんな時考えるのは、

自分が相手に伝えたいと思う事自体が、

もしかしたら、

ただのエゴかもしれないという事。

 

受け取りたくないと思っている相手に、

強く伝えようとすればするほど

逃げられるのは当たり前。

 

自分が相手にコントロールされたくないと思うのと同じように、

相手も自分にコントロールされたくないと思っているかもしれない。

 

自分は自分。

相手は相手。

 

「伝わったらいいな~」

くらいで一歩引いて考える事ができれば、

意見の違う相手とも、

自然な感じで付き合う事ができる。

 

伝えたい事を伝えるには、

相手に伝わらない事を受け入れる事で、

伝えようとする余計な力が抜けて、

自然な感じで伝わるようになるものかもしれないです。