仕事柄、

「それをやって誰が喜ぶんですか?」

「どんな人がお金を払うほどの価値を感じてくれるんですか?」

とよく社長に聞いてきた。

 

なぜなら、ビジネスにおいては、

「お客様が喜んで会社も儲かる事」

が重要だから。

 

実際それがうまくいけば、

成功者と言われ社内外から称賛される。

 

 

でも、

「それは社員みんなにとって楽しい事ですか?」

と問われると意外に困る。

 

儲けたかどうかは数字でわかりやすいけれど、

何を楽しいと感じるかは人それぞれ。

 

たとえ儲かったとしても、

仕事・組織が変わっていく事に対して、

反発する社員だっている。

 

 

楽しいかどうかを中心に考えると、

成功を目指すビジネス的な考え方が

重荷になる事もある。

 

なぜなら、

ビジネス(仕事)とは打って変わって、

プライベート(趣味)においては、

儲からなくても、他人が喜ばなくても、

自分が楽しめるかどうかが重要だから。

 

さすがに、

法に背いて迷惑をかければ止められるけど、

少なくとも短期的には、

自分の趣味を楽しむために

誰かに価値を与える事は不必要。

 

嫌いな事はやらなくても大丈夫。

好きな事をやるだけでいい。

 

苦手な人とつるまなくても大丈夫。

気の合う人と一緒にいるだけでいい。

 

好きな事でお金がかからないなら、

無理に仕事をしなくてもいい。

 

アルバイトで最低限の生活費を稼いで、

趣味としてアーティスト活動するのもいい。

 

楽しくなくても儲かる事を優先するビジネスと、

儲からなくても楽しむ事を優先するプライベートは

あまり相性が良くないとされてきた。

 

これまでビジネスとプライベートを分けて考えられてきたのは、

きっと、その2つを両立させる考え方を

うまく言語化できなかったからだと思う。

 

 

 

会社にとって、

「楽しんで儲けるなんてできない!」

「大変だからこそ仕事だ!」

と言えれば楽だけど今は人手不足。

 

現実的に、

社長・社員がイキイキと楽しそうに

仕事をしている会社には人が集まる。

 

たとえ条件がよくても、

楽しくなさそうな会社には人が集まらない。

 

入社しても日本人はすぐ辞めるからと、

外国人労働者に依存する会社も増えてきた。

 

会社にとっては死活問題。

 

学校・部活の延長線の感覚で、

仕事を楽しもうとする若い世代の人達に対して、

ビジネスの世界では当たり前のはずだった

「儲かるからやる」

「仕事だからやる」

「やらなきゃいけないからやる」

が通用しなくなってきている。

 

 

とはいえ、年配の人に

「この仕事のどんなところが楽しいんですか?」

と聞いたってポカーンとされる。

 

「仕事とはこういうもの」

「お金をもらうんだから大変なのは当たり前」

と思って仕事をやってきた人は、

仕事を楽しもうなんて考えない。

 

そこに山があるから登るのと同じように、

「頼まれたからやる」

「仕事だからやる」

「昔からやってきたからやる」

ただそれだけ。

 

「仕事を楽しむ」という概念がないから、

仕事の楽しさについて聞かれると困る。

 

「本当はやりたくないのに仕方なくやっている」

と思っている人は怒るかもしれない。

 

このジェネレーションギャップが、

多くの会社で課題になっているような気がする。

 

 

 

仕事を楽しもうとする若い人に対して、

「そんな甘っちょろい考え方ではダメだ!」

と怒ってイジメて、

数十万・数百万円かけて採用・育成した若手社員を

自覚のないまま退職に追い込んでいるケースは多い。

 

とはいえ、年配社員の立場を考えてみれば、

何十年と苦しみながら続けてきた事を

若手社員がニコニコ楽しそうにやっていたら、

「もっと真剣にやれ!」

と言いたくなるのも仕方のない事。

 

長年かけてなんとか出せるようになった数字・成果を、

たった入社数年の人が簡単にすぐできると思われてしまえば、

面白くないと感じるのも仕方のない事。

 

仕事を大変なものだととらえる年配社員と、

仕事を楽しみたい若手社員が反発し合うのは、

ある意味、自然な事なのかもしれない。

 

 

そうなってしまう原因は結局、

お互いが自分を否定されているように感じてしまうから。

 

普通にしていたらうまくいかない両者をうまく収めるには、

「大変だけど楽しい」

「同じだけど違う」

と相反するように思える事を両立させる考え方を

指し示すしかないような気がする。

 

 

楽しさにも色々あって、

簡単でニコニコしながらする楽しさもあれば、

緊張する真剣勝負の中にある楽しさもある。

 

簡単すぎるゲームがすぐ飽きるように、

仕事もなかなかうまくいかないところに

奥深さがあるケースだってある。

 

もし若手社員と年配社員が似たような

数字・結果になったとしても、

本人の中では違うと思えていればそれでいい。

 

 

 

仕事と趣味が両立できないと

とらえられているのも結局は同じ事。

 

仕事と趣味を両立できないと思っている人にとって、

たいてい趣味はヘラヘラと適当にやるもの。

 

でも両立できると思っている人にとって、

趣味は真剣にやるもの。

 

仕事も趣味も、

時には笑いながら、

時には苦しみながら、

喜怒哀楽を楽しむもの。

 

そうとらえられれば、

仕事と趣味は両立できる。

 

 

考え方が違うと対立するように思われがちだけど、

相反するように思える事を、

調和させてとらえられれば争う必要はなくなる。

 

「キモかわいい」

「甘じょっぱい」

「痛気持ちいい」

「温故知新」

「変わらないために変わり続ける」etc、

相反するような言葉を並べても

なぜかイメージできて、

受け入れられてしまうのが、

日本語・日本人のすごいところ。

 

同じように、

「大変でもあるけれど楽しい」

「難しくもあるけれど簡単」

「嫌でもあるけれど好き」

などと考えられれば、

考え方が真逆の人同士でも

対立せずに共感し合う事ができる。

 

もっと言うなら、

「争っているからと言って仲良くない訳じゃない」

ととらえられれば、

争いも悪くないものとして許容できるようになるはず。

 

 

 

全く違う事を言っているようで、

意図が同じである事はよくある。

 

相性が良くないとされる物事も、

争いあっている人同士も、

どこかに調和させられるポイントがきっとある。

 

言葉遊びのように

とらえ方の違いを受け入れて、

楽しんでいきたいです。