後悔

 

「入社3年は恋人と遊ぶヒマなんてないと思え!」

「学生時代の友人と遊ぶなんて時間のムダだ!」

 

と上司に言われたら、どう思いますか?

 

今で言う完全なブラック企業。

 

昔はすごく反発していたけれど、

これはただの言い方の問題だと、

今になってとてもよくわかるようになってきた。

 

自分の時間は有限。

 

仕事に本気で時間を使ったら、その分、

「それ以前に使っていたはずの何か」に

時間を使えなくなるのは当たり前の話。

 

何かを得る事と、何かを失う事は表裏一体。

得る方に注目するか、失う方に注目するかの違いだけ。

 

得る方に注目すると受け入れやすくて、

なぜか、失う方に注目すると受け入れにくい。

 

反発したところで、事実、結果として何かを失う事になる。

 

それはお金も同じ事。

 

 

「かわいそうな人達のために予算を!」

という綺麗事の裏にあるのは、

他の何かの予算を削るという事 。

 

みんなで弱い人を守るという事は、

弱くない人がその分を負担するという事。

 

得るものはわかりやすいけれど、

失うものはわざわざ言われない事もあって気が付きにくい。

 

だから、失いたいなんて思ってもいなかったものが、

いつの間にか失われてしまっている事が多い。

 

私も独立して、自由な時間が増えたけれど、

代わりに失ったものは、所属して馴れ合う事によって得られていた安心感。

 

大嫌いだったはずの朝礼や会議に

意外な意味があった事に気が付いた。

 

会社の経営を効率化する事は大切だけど、

それによって失われやすいものは、

短期的な数字には出にくい心の部分。

 

今、多くの会社で、利益や生産性と引き換えに、

大切にしていたはずのものが失われていっている。

 

社内清掃の外注によって、自分達の会社という意識は薄れた。

社内にゴミが落ちていても拾われにくくなった。

 

顧客対応を分業化する事によって、お客様意識は薄れた。

自分のお客様のために何かをしてあげたいと考えられにくくなった。

 

成果主義の導入によって社員の仲間意識が薄れた。

自分の実績に影響しない事に協力しにくくなった。

 

マニュアルによる即戦力化よって、ベテラン職人的社員の価値が薄れた。

言われた事しかできない社員が増え、

ケースバイケースの対応や、お客様への細かい気遣いがされにくくなった。

 

変化は大事だけれども、いい事ばかりではない。

また逆に、伝統を守るという事も、

変化するメリットを享受しない事に繋がる。

 

 

私もふとした事で、自分がやろうとしている事が、

本当に正しい事なのか不安になる時がある。

 

でも、やってみなければ、

もしかしたら、やってみたとしても、

正しいかどうかなんて判断できない。

 

ただ言えることは、

正しくても正しくなくても、

変えても変えなくても、

やってもやらなくても、

結局、どちらを選択しても、それぞれにメリットとデメリットがある。

 

大切なのは、そのメリットの方を見ていく事。

それで後悔はしなくなる。

 

もっと言えば、後悔するような失敗をしてしまったとしても、

「”後悔するような失敗をする事”によって得られている何か」

に気が付く事ができれば、それを前向きにとらえられるようになる。

 

過去を振り返ってみても、失敗した経験ほど、

今になって、それがあったからこそ成長できたと思える事が多い。

 

きっと人生にムダな事なんてない。

 

色々と悩む事はあるけれど、

それはそれで楽しみながら、

自分らしく自然に気楽に生きていきます。