いい会社に就職したいという大学生は多いけれど、
いい会社ってなんだろうか?
・マニュアルが整備され、入社したばかりの新人でもすぐに一人前になれる会社?
・上司が優しく、仕事が楽で、休みも多く、高い給与がもらえる会社?
・将来有望な業界で、優秀なメンバーが揃い、当たり前のように成長し続ける事ができる会社?
それほど頑張らなくても、
みんなが羨むような環境が、
すべて最初から用意されていたとしたら、
それはある意味、退屈な会社ではないだろうか?
私もいまだによくわからないでいる。
例えば、私の過去を振り返ると、
お金の喜びを強く感じる事ができたのは2回。
高校生になってお小遣いが一気に5000円に上がって、
学校帰りに気軽にジュースを買ったり、
たまに安いうどんやラーメンを食べれるようになった時。
18歳、居酒屋のアルバイトで毎月3万円以上もらえるようになって、
コンビニで自由にお金を使ったり、気軽に旅行できるようになった時。
大金だったはずの100円・1000円が
自由に使えるようになった喜びを今でも覚えている。
仕事についても一緒。
お客様の何の役にも立てなくて、
自分の無力さを思い知らされた悔しい経験や、
人前で話せなくて、緊張して足が震えてどうしようもなかった失敗があったからこそ、
お客様に感謝される事が、もの凄く嬉しく感じられるようになった。
独立して安定的な収入が見えなくなって初めて、
今まで当たり前にいただいていただいていた給与や、
お客様から毎月振り込んでいただけるお金の、
その有り難みを理解できるようになった。
大きな感動の喜びを得るには、きっと、
振り子のように、マイナスに振れる経験が必要になる。
そう思うと、
大学生がいい会社と言われる会社に就職したとしても、
いい会社に勤める喜びを感じる事はできないのかもしれない。
あるとしたら、「いい会社と言われる会社に入ったね」と
まわりに羨ましがられる自尊心を満たす事だけかもしれない。
ブラック企業と言われる会社も、
セクハラ・パワハラ・モラハラという言葉さえなかったような時代に比べれば、
かなりいい会社になっていると思う。
うまく伝わっていないだけで、
想像以上に社員想いだったりする事もよくある。
「ブラック企業もホワイト企業もやっている仕事は一緒。やらされているか、やりたくてやっているかの違いだけ。」
「ブラック企業にはブラック社員がいて、ホワイト企業にはホワイト社員がいるだけ。」
と言っていた人がいたけれど、
確かに、同じ会社でも、同じ仕事でも、人によってまったく捉え方が違う事もよくある。
「働けるだけでもありがたい。」
と思えるような人にはどんな会社・仕事でも天職になる。
その人に合うか、合わないかの問題だけで、
誰もが思うブラック企業なんてものは、存在しないのかもしれない。
誰もがいい会社と言う不満がない会社は
成長する伸びしろがない会社とも言える。
悪いと言われる会社をいい会社にしていく過程に喜びを感じる人もいる。
キツい会社に入社してそこで成長する事にやりがいを感じる人もいる。
長く勤められる事に価値を感じず、短期間で辞める事を前提に入社する人もいる。
結局、勤める会社をいい会社と思うかどうかはすべてその人次第。
人それぞれが持っている理想と現実のギャップを埋められるかどうかに価値がある。
「どんな生き方をしたいのか?」が定まらない限り、
その人にとってのいい会社なんてものは、
ずっと見つけられないのかもしれない。