恩返し

両親や上司、お世話になった先輩方に対して

「恩返しをしたい!」と言う人は多い。

 

その心意気はとても大切だし、

とてもステキな事だけど、

実はあまり価値がないかもしれない。

 

大先輩から焼肉を奢ってもらって嬉しかったから、

その大先輩に焼肉を奢り返す。

 

両親に大学資金を出してもらったから、

大学資金をそのままプレゼントする。

 

こんな恩返しはきっとあまり嬉しくはない。

 

そもそも、人がなぜ恩を感じるかと言うと、

お金がない時にお金を出してもらったり、

寂しい時にそばにいてもらったり、

迷っている時に親身に話を聞いてもらったり、

困っている時に助けてもらったり。

 

その状況があったからこそ、その嬉しさがあったはず。

 

言えない想いを汲み取ってしてくれる、優しいおせっかい。

 

相手の状況を考えず、

ただ自分が恩を返したいがために、

してもらった事をそのまま返すのはただの押し付けで迷惑。

 

相手を逆に寂しくさせてしまうかもしれない 。

 

以前、尊敬する社長に

受け取る事もサービスだと教えてもらった事がある。

 

相手も、自分に喜んで欲しくて何かしようとしてくれているのだから、

その好意は素直に受け取って、素直に喜んだっていい。

 

そしてその恩をそのまま返すのではなく、

自分と同じかそれ以上に喜んでくれる、

別の誰かに恩送りをした方がいい。

 

いい会社の組織は、恩送りがうまくいっている。

 

上司・先輩に育ててもらって成長できた恩を、

上司・先輩に自己満足の恩返しをして終わってしまっていては、

ベテラン幹部社員が固まって、若手社員の悪口を言うような会社になってしまう。

 

上司・先輩にしてもらった嬉しかった事を、

同じように部下・後輩にしてあげるからこそ、いい組織になっていく。

 

社会も同じ。

 

恩返しされそうになったら、ニコッと笑顔で、

「同じ事を、若い人や子ども達にしてあげて」

と伝えて恩送りに繋げてもらう。

 

自分を産んで育ててくれた感謝の気持ちを、子ども達に恩送りする。

支援してもらった感謝の気持ちを、別の困っている人に恩送りする。

 

ただそれだけ。

 

Give&Giveという、人格者にならないとできないような難しい事ではなくて、

Give&Takeの対象の相手を変えるだけというシンプルな考え方。

 

映画ペイフォワードの世界観。

 

私もカッコいい先輩や両親を見習って、

できる範囲で少しずつ恩送りをしていきます。