伝えたい想いが伝わらない。

 

わかりやすい言葉を使っても、

なぜか違った意味で伝わってしまう。

 

誰しも悩んだ経験があるはず。

 

例えば

「あなたなら大丈夫!」

という励ましの言葉も、

「無責任な事を言わないで!」

とイライラさせる事がある。

 

「失敗しても大丈夫だから!」

という不安解消のための声掛けも、

「失敗させないように必死に頑張っているのに!」

とイライラさせる事がある。

 

だからと言って何も声を掛けなければ、

「こんなに頑張っているのに声さえ掛けてくれないの!?」

と不満に思わせる事もある。

 

人の気持ちは難しい。

 

元気付けようと、

失敗の恐怖をやわらようと、

相手を想って伝えたはずの言葉が、

逆効果になってしまう事がある。

 

 

色々悩んできたけれど、

これらの理由はきっと意外にシンプル。

 

「言葉は相手がそう思いたいように受け取られる。」

これに尽きるような気がする。

 

 

相手が自分を嫌っているか?

尊敬されているか?

これが伝え方の問題以上に大きい。

 

 

まず、嫌っている相手とは、

まともな会話が成り立たない。

 

相手が自分の事を嫌いたいと思ってしまっていたら、

何を言ってもマイナスの意味に捉えられてしまうから。

 

相手がイライラをぶつけたいと思っていたら、

何を言ってもそのイライラをぶつけられる。

 

もちろんこちら側の態度・言葉遣いによって多少変わるけれど、

相手の受け取り方の問題も大きい。

 

「来るもの拒まず、去るもの追わず。」

これはとても理に適っている。

 

嫌いを好きに変えるなんて事は、

自分だけの力ではどうにもできない。

 

嫌い合っている人同士の

勘違い・思い込みの解消がうまくいかないのも、

根本的には嫌い合いたいから嫌っているだけだから。

 

 

嫌う理由なんて後付け。

 

感情的になっているところに

正論・理屈をぶつけても反発される。

 

それがわからなくて、

悩んでいる人は多いような気がする。

 

 

 

「あなたなら大丈夫!」という言葉は、

相手が少なからず「大丈夫かもしれない」

と前向きに思っているからこそ伝わる。

 

「失敗しても大丈夫だから」という言葉は、

相手が少なからず「失敗したらどうしよう?」

と不安に思っているからこそ伝わる。

 

相手がそう思いたい事に乗っかれるかどうか。

 

「今のままがいい」と思いたい人に、

「変わった方がいい」と言っても響かない。

 

 

やれる事はただ背中を押すだけ。

 

 

態度・言葉遣いでどうにかできるのは、

相手に多少なりとも尊敬されるようになってから。

 

でも、本当にそうなった場合は、

伝え方に左右されずに伝わるようになる。

 

側から聞いたら酷い言葉であったとしても、

勝手にプラスに変換して受け取られる状態。

 

相手が大丈夫だと全く思っていなかったとしても、

「あの人が大丈夫と言ってくれたという事は大丈夫って事なんだ!」

と前向きに解釈してもらえる。

 

たとえ感情的に怒ったとしても愛のムチと感じてもらえる。

 

 

結局、何を言うかよりも誰が言うか?

 

そう思うと、コミュニケーション能力とは、

相手に尊敬されるほどの高い人間性に

左右されるものかもしれない。

 

 

とはいえ、それがわかっていても、

信頼関係がないままでも、

何とかしなければいけない時もある。

 

そんな時は相手の中にある小さな

「変わりたい」

に注目してそれを伸ばすアプローチをするといい。

 

どんな人でもそれぞれに、

変わりたいという成長欲求と、

変わりたくないという安定欲求がある。

 

例えば、今のままがいいと言う人でも、

「50年間ずっとそのままでもいいか?」

「次の世代の人にもそれを続けさせられるか?」

などを言うと心が揺らぐかもしれない。

 

すると、

「今のままでいられるようにするために変わる」

という一見矛盾した事が受け入れられるケースもある。

 

 

また自分を嫌いと思っている人と

コミュニケーションを取る時は、

無理に好きに変えようとするのではなく、

嫌いを嫌いのままアプローチする方がスムーズ。

 

嫌いなのにそばにいてくれるという事は、

なんらかの利害関係が一致しているから。

 

会社も社長も嫌いだけど、

仕事やメンバーが好きだからと

それはそれで楽しく仕事をしている人はたくさんいる。

 

 

人間関係の問題を見つけると、

解決したいとか、解決方法を教えてあげたいと思うけれど、

それは結構、自分都合の欲求のような気がする。

 

問題があってもうまく回っているのなら、

白黒ハッキリさせて余計に揉めるのではなく、

問題をうやむやにしたまま実利を取ったっていい。

 

 

変わりたくない人同士の欲求に逆らって、

アドバイスで相手を変えるのは難しい。

 

プライドが高くて教えられたくない人も多い。

 

正論を伝えたところで、

相手が聞きたくないと思っていたら逆効果。

 

大切なのは、その相手のエネルギーの向きを把握してうまく合わせる事。

 

 

人間関係に悩んで見える会社でも、組織でも、家庭でも、

今まで存続してきたという事は、

他に何らかの価値があるからこそ。

 

長所伸展。

 

難しい人間関係問題を無理に何とか解決しようとするのではなく、

問題を問題と思わないようにしてしまうくらいに他の長所を伸ばす

ストレートではないアプローチも取り入れていきます。