「お金をいただくんだから、仕事は苦しくて当たり前」

 

嫌な事、苦しい事でも、

社員・家族のためにやらなければならない

と考える人は特に年配世代に多い。

 

それは、仕事もなく衣食住に困るほどの

貧乏を知っている世代の価値観。

 

努力と根性で苦しんで成功する事を美徳とする

「巨人の星」「アタックNo.1」などに

影響されて育った世代の常識のような気がする。

 

 

今はモノや仕事で困る事がない豊かな時代。

 

仕事を辞めても簡単に転職できる。

それが嫌ならアルバイトでも

それなりに豊かな生活ができる時代に生まれ育った若者達。

 

お互い悪気はないのに、

ただそれぞれの常識・価値観が違いがわからなくて、

コミュニケーションがうまくいっていない事は多い。

 

 

「成功したければもっと頑張れ!」

とばかりに、困難を努力と根性で乗り越えた経験について

自慢気に語る年配の人の話は、

若者にとっては逆効果になりがち。

 

そんなに苦しんでまで成功したくないと、

敬遠されてしまう事になる。

 

従来の仕事が苦しいならと、

従来のような仕事をしなくても済む方法を求めて、

自分らしく人生を楽しめる生き方を求めて動こうする若者達。

 

それは常識に囚われない柔軟な発想で、

尊敬に値する事のように思える。

 

 

とはいえ、いつの時代も、

年配世代の人から見ると、

若者は努力不足・根性なしに見えるもの。

 

それは日々進化するテクノロジーや、

イノベーションによって、

精神的・肉体的に苦しい事は

やらなくて済むように改善されていくので、

ある意味当たり前の事。

 

そしてこれからも、

苦しんでやらなければいけないような作業、

お金をもらってでもやりたくないような仕事は、

多少の移行期間はあるにせよ、

もっともっと減っていく。

 

そして、認めたくない人は多いかもしれないけれど、

楽しくない仕事・やりがいのない仕事しか提供できない会社も減っていく。

 

なぜならそれは、

関わる人に苦しみを与える元になるものだから。

 

淘汰が進むのが自然な流れ。

 

 

苦しんで我慢して頑張ってきた人ほど、

「努力が足りない!」「根性がない!」

と批判したくなるかもしれない。

 

それでも、

楽しい事が好きなのが人間。

幸せを追求しようとするのが人間。

 

苦しんでまで嫌な仕事をする必要はないという考え方は、

今後さらに社会の常識になっていくに違いない。

 

 

そうなると、

「苦しい想いをしてでも、絶対に会社を潰してはならない!」

と願って息子に事業承継させるのは、

志を引き継がせるのではなく、

ある意味呪いを引き継がせる事に

なってしまうかもしれない。

 

「会社が潰れると社員とその家族が路頭に迷う!」

「男たるもの家族・社員を守らなければならない!」

なんて話は、もはや昔の常識。

 

少なくとも今はバブル期以上の売り手市場。

探せばいくらでも仕事はある。

 

それでも社員の事が心配だと言うのであれば、

こんな状況の中でさえ、

仕事を探せないような社員を抱えてしまっている事の方が問題。

 

そういう社員しか育成できない会社のしくみや、

人が育たない環境を変えた方がいいという事ではないだろうか。

 

 

後継者問題に悩む社長はたくさんいるけれど、

本質的な原因は、継ぎたいと思えるような会社ではない事。

 

それはきっと会社が儲かっているとか、

将来性がどうこうの問題だけではないような気がする。

 

儲かる事が継ぎたい理由になっていたとしたら

メリットに惹かれているだけなので

ちょっと業績が傾いて苦しくなると、

被害妄想に駆られて逃げ出したくなるので会社は長続きしない。

 

大切なのは、儲かる事以上に、

そこにやりがいがあって、喜びがあって、

目を輝かせて楽しく仕事ができるかどうか?

 

仕事が楽しそうだったら、

仕事に興味を持つようになる。

 

自発的に勉強するようになって、

余計に仕事が好きになる。

 

会社の事も好きになって、

会社を継ぎたいと思うようになる。

 

 

それは「そうしなければならない」という義務感ではなくて、

「そうしたいからする」という自然で前向きな想い。

 

 

何十年かけて親の背中を見せて育てた子供に、

継ぎたいと思わせられなかったとしたら、

無理に子供に継がせない方が、

親にとっても、子供にとっても、

それが自然で幸せなような気がする。

 

 

「子供には子供が望む人生を好きに生きて欲しい」

と願うのが親というもののはず。

 

それにも関わらず、

苦しませてでも無理に子供に

会社を継がせようとする社長の気持ちは

未だに理解できないでいる。

 

 

一生懸命誰かの役に立つために頑張ってきた社長。

会社を辞める時、死ぬ時くらい迷惑をかけたっていい。

 

自分がいなくなった後の事や、死んだ後の事まで考えて、

「人に迷惑をかけてはならない」

「こうでなければならない」

とコントロールしようとする事に無理がある。

 

 

 

物事はきっと、

うまくいっていないと思える事も含めて

うまくいっている。

 

何か苦しい出来事が起こったという事は、

それは自分に何かを教えてくれようとしているサイン。

 

チャレンジするチャンスを与えてくれているのかもしれない。

 

まわりにいる助けてくれようとしてくれる人に、

気が付かせようとしてくれているのかもしれない。

 

逃げた方がいいと教えてくれているのかもしれない。

 

 

泣いて笑って本当に色々ある人生。

 

さらなる人生の楽しみ方を追求していくと共に、

その気付きを与えられるような発信を続けていきたいです。