ご近所さんとの挨拶や、

タクシーに乗った時の

「良いお天気ですね」

から始まる昔ながらのコミュニケーション。

 

名刺交換でも、

「共通点を探して必ず何か1つ質問をしましょう」

とマナー教育をする講師もいる。

 

本当にそう思って話をするのはいいけれど、

マナー・社交辞令的に、

興味のない事について話をされたり、

聞きたくもない事を聞かれる事に対して

私はいつも疑問に思ってしまう。

 

 

ひと昔前はスマホはおろかインターネットもなかったので、

今では不必要に思える情報交換にも価値があったのかもしれない。

 

しかし今では、

必要な情報が検索で簡単に手に入る時代。

 

知識がない人同士でする

上辺の情報交換の価値が薄れてきている。

 

さらに、

相手のコミュニケーション能力が高かった場合、

嘘は見抜かれているし、

建前は見透かされている。

 

言っていない事までも含めてかなり伝わってしまっているのに、

興味のない事を聞くのは失礼に当たるような気がするし、

本音を隠そうとすればするほどカッコ悪い感じになる。

 

それは、子供が付くバレバレな嘘に対して、

大人が必死にわかっていないフリをするのと同じような状態。

 

ビジネスの場でもプライベートでも、

よく起こっているように思える。

 

 

社交辞令的に興味のない質問をされたり、

おべんちゃらを言われるのは、

少なくとも私にとっては気持ちが悪い。

 

そんなものはすっ飛ばしてしまった方が、

もっと早くお互いにとって楽しくて有益な

深いコミュニケーションができるような気がする。

 

 

とはいえ、初めての人に会う場合、

本音はストレートにはなかなか聞けない。

 

例えば相手の趣味を聞くにしても、

「趣味はなんですか?」

と普通に聞いても、旅行・読書・映画などの、

言っても差し障りのないレベルの趣味しか聞けない。

 

せっかく出会った相手と、

スマホ検索ですぐに調べられるような

わかりきっている事を話し合ったところで、

私の場合、何が面白いのかわからない。

 

同じ趣味を聞くにしても、先に自分から、

「実は私、熟女好きなんですよね〜。」

くらいの際どい話をさらけ出せれば、

「実は私、腐女子なんですよ〜。」

くらいの仲の良い人にしか言えない本音ベースの深くて面白い会話ができるようになる。

 

 

ビジネスの場でよく言われる

「困ったらなんでも相談してください」

という言葉も、個人的には正直薄っぺらい感じがする。

 

本当に困っている時、本当に苦しい時、

気軽に相談なんてできない。

口に出す事さえしたくない。

 

何に困っているのか気が付いて、

誰かに言えるようになった時点で

課題はすでに8割方解決しているように思える。

 

だから相手の本当の困り事を聞こうと思ったら、

これも、自分から言いにくい困り事を言ったり、

人には言いにくい過去の失敗談をさらけ出す方が先。

 

それで初めて困り事の片鱗みたいなモヤモヤを

話してくれるようになる。

 

 

上司と部下、友達同士、夫婦関係でも、

「わかってくれない」

と文句を言う人はよくいるけれど、

その前に自分が相手に本当の本音を伝えていない事の方がきっと多い。

 

さらに言うと、

自分でも自分の本当の本音を認識できていない事も多い。

 

「仕事を辞めたい」

と言う人に仕事の辞め方を教えてあげても、

「でも」「だって」を繰り返されて会話にならないのは、

相手の本当の本音が

「仕事が大変な事をわかって欲しい」

「頑張っている自分を認めて欲しい」

など別のところにあるから。

 

人が誰かに相談をする時、

解決する方法を知りたいのではなくて、

「わかっていてもどうしようもできないモヤモヤ」

をなんとかしたいだけの人の方がきっと多いはず。

 

 

ほとんどの場合、相手は

自分が伝えようとした事・伝えたと思っている事

の2割も受け取っていない。

 

自分がしたい話をしたところで、

相手は聞いたフリをしているだけ。

 

・相手が言いたい事を聞く

・聞きたい話を話す

をしない限り、言葉をまともに受け取ってくれない相手も多い。

 

言ってはいるのに伝わっていない本音。

そもそも言ってさえいない本音。

 

コミュニケーションのすれ違いが、

本当は仲良くできる人同士を

仲違いをさせてしまっているような気がする。

 

 

苦手な人と無理して付き合う必要がなくなってきた今、

本音のコミュニケーションが取りやすい環境は整ってきている。

 

分かり合える人同士での会話、

本音のコミュニケーションは気持ちがいい。

 

うまい形で広げていきたいです。