わかりやすく伝えているつもりでも、

聞き手を混乱させてしまう事がある。

 

それはもしかすると、

“聞き手に合わせた対応”

が話し手に足りていないせいかもしれない。

 

 

経験の浅い講師・上司・教育者が陥りがちな課題。

 

まず、1人1人目指すゴールが違う。

 

伝え手が”うまくいくための方法”をアドバイスをしたところで、

伝え手と聞き手の”うまくいく”の概念が異なっていては響かない。

 

例えば、

伝え手が一番になるための指導をどんなに上手にしたところで、

聞き手が一番になる事を望んでいなければ余計なお世話。

 

 

また、聞き手にそこそこやる気があったとしても、

やった事がないような事を、

1から10まで全部教えようとすれば、

聞き手はイメージが掴めなくてうまく受け取れない。

 

聞き手に失敗させないようにと、

何かを実践する前から、

「あれはダメ!これもダメ!」

と多くの情報を与えすぎると、

聞き手を不安にさせて、

動けなくさせてしまって逆効果。

 

 

先の事まで全部わかった上で動きたがる人も確かにいるけれど、

一歩ずつ進めるアドバイスでなければ情報過多で動けなくなる人も多い。

 

新しい情報・ノウハウを、

たくさん教えると喜ぶ人もいるけれど、

そういう人は、新しい情報・ノウハウを知る事が好きなだけで、

結局何も実践しないまま終わる傾向は強い。

 

その結果、

「何でこんなに頑張って教えているのにできないの!?」

「なんで言った事をやってくれないの!?」

と話し手がイライラしてしまいがち。

 

 

そもそも、やった事のない人に必要な情報と、

やった事のある人に必要な情報(伝わる情報)は違う。

 

それは、自転車を一度も乗った事のない子供に、

ハンドル操作の仕方・ペダルの漕ぎ方・ブレーキの掛け方 etc、

すべてを教えようとしても混乱してうまくいかないのと同じ。

 

少なくとも、チャレンジしてもいない人に、

その”コツ”をわかりやすく伝えようとしても伝わらない。

 

 

受け取れる情報の許容量は人によって違う。

 

実践した後に必要な情報を、

実践する前に伝え過ぎてしまっている人は、

私も含めて多いような気がする。

 

 

インターネット・スマートフォンの普及・進歩で、

情報が何でも簡単に手に入るようになった今の時代。

 

良い悪いは別にして、何かを始める前に、

成功事例と共に失敗事例まで先にわかるようになった。

 

そして、ほとんどの人にとって、

成功を手にするよりも、

失敗を回避する方が優先順位が高い。

 

そのためか、チャレンジする事に臆病になりやすくなった。

バカになってガムシャラに行動しにくくなった。

 

人生に正解なんてないのに、それを求めようとしてしまったり、

絶対に失敗しない方法なんてないのに、それを求めようとしてしまったり。

 

そうやってドツボにはまっていく。

 

求めようとすればするほど、結局動けなくなって、

目の前にあるチャンスを逃してしまう。

 

 

成功するための行動と、

失敗しないための行動は意外に異なるのにもかかわらず、

成功するための行動ではなく、

失敗しないための行動を取ってしまいがち。

 

 

特に若い人に向けてアドバイスする時は気を付けた方がいい。

 

「そんな経験があるならこれをやったら儲かる!」

「そんな能力があるのにこれをやらないなんてもったいない!」

と自分の価値観を押し付けようとし過ぎるのは、

相手の可能性を狭める事になりかねない。

 

そもそも、やるかやらないかの判断基準が、

「儲かるかどうか?」

「周りの人がもったいないと思うかどうか?」

になっているなんて事が、

ダイバーシティと言われる今の時代に合っていないような気がする。

 

 

親切なお節介のつもりが、

余計なお世話になっている事もある。

 

 

答えのない時代。価値観は人それぞれ。

 

もちろん求められる教育の形も変わっていく。

 

それはきっと1人1人の価値観に合わせたオーダーメイド。

 

昔ながらの答えを与えようとする教育ではなくて、

その相手なりの答えを導き出せるようなヒントを提供するような教育。

 

革新と保守。賛成と反対。感情と理屈。

偏った一方の視点だけではなく、異なる視点を提供する事。

 

ただじっくりと見守って、

相手が何かのピンチに陥った時に、

できる限りの救い手を差し伸べる事。

 

教えるというよりも、寄り添う形になっていくような気がする。

 

 

変わっていく時代。

 

新しい時代を生きる若者に、

古い時代を生きてきた年配者が、

答えを教えられると思う事が、

ヒントを与えられると思う事が、

おこがましいかもしれない。

 

それでも新しい事にはワクワクする。

変化するって面白い。

 

若い人の価値観に付いていける自分でいたいです。