「あなたは今、幸せですか?」
と聞かれて、自信を持ってYESと答えられる大人は
世の中にどれだけいるんだろう?
私が子どもの頃に持っていたイメージは、
社会人になってガラリと変わった。
昔は情報が閉鎖的だったせいか、
幻想的な幸せがあったように思う。
勉強をしていい大学に入れば、
頑張って会社に尽くして昇進昇格すれば、
結婚すれば、お金持ちになれば、
幸せになれると信じられていた。
私も、
たくさん稼いでお金持ちになったら、
社長になって自由になったら、
幸せになれると信じて、
経営コンサルタント会社に入った。
そこで初めて、お金持ちの社長の苦しみを知って、
なんとも言えない気持ちになったのを覚えている。
今の若い人は、
私が社会人になって初めて気が付いた幻想を、
もっと早く気が付く事ができているんだと思う。
アイドルやスポーツ選手という
成功者・幸せの象徴のような人でさえ、
普通の人と同じ、もしくはそれ以上の苦悩がある。
勉強しなさい!
もっと頑張って働きなさい!
そろそろ結婚しなさい!
叱りたくもないのに叱り続ける大人達は、
「そうしたら、本当に幸せになれるの?」
と素朴な質問をされた時、
まともに答えられるのだろうか?
大人達が言うように頑張ったところで、
幸せになれる訳ではない事を
その背中で証明してしまっているような気がする。
きっと会社も同じ事。
目標のために一生懸命頑張って、
売上規模を拡大して、利益をたくさん出し、
理想の店舗を作り、高いボーナスを支払ったからといって、
社長や社員が幸せになれるとは限らない。
社員教育で、
上司がどんなに怒鳴って教えても、
「そんな、あなたみたいな大人にはなりたくない」
と思われてしまえばおしまい。
その部下が日々の仕事を一生懸命頑張る結果が、
その嫌な上司に一歩一歩近づく事になってしまうとしたら、
それはなんて悲しい罰ゲームだろう。
仕事を頑張る意味はどこにもなくなってしまう。
とはいえ、
頑張って苦しんでいる人ほど、寂しい想いを抱えている。
頑張っている自分を認めて欲しくなる。
「大人になると大変だ」と苦しみに耐えている事をアピールし、
「大変な時代に生まれた子ども達、今を生きる若い人は可哀想だ」と卑下し、
優越感を得ようとしてしまう人もいる。
しかし、そんな人生を楽しめていない大人に、
人生の苦しさを教えられる事こそが、一番可哀想な事かもしれない。
今、きっと必要とされているのは、
さらに上手な人生の楽しみ方を語れる大人。
私も含め、大人達はよく、
「もっとこうしておけばよかった。」
と、後悔の話を伝えようとしてしまう。
しかしこれは、
「だから今、私は幸せではない」
という事を暗に伝えてしまう事になりかねない。
失敗しないためにどうするなんて暗い話より、
ぜひ伝えて欲しい事は、
「私はこんな人生の楽しみ方をしているけれど、あなたはさらにどんな楽しみ方をするつもり?」
という感じの前向きな話。
大人は本当に素晴らしい。
仕事するのも、遊ぶのもすべて自由。
働く会社も、住む場所も、結婚相手や、家族の人数さえも、
すべて自分次第で、いつでも何でも自由に選択できるという、ものすごい特権がある。
「大人になるって楽しいぞ〜」と、歳を重ねる毎に広がっていく
楽しみ方の深みやバリエーションをきちんと伝える事ができれば、
子どもも、若い人も、もっと未来に希望が持てるようになる。
今の若い人は、
人生を楽しんでいない大人達の言う矛盾に、
きっと気が付いている。
勉強しない、一生懸命働かない、結婚しない。
やりたくない事をやらない事の何が悪い事なのだろうか?
勉強して、一生懸命働いて、結婚する大人達が幸せに見えていたら、
また、なぜそうするのか、そこに前向きな理由・目的があれば、
若い人も喜んで動くようになる。ただそれだけの事。
好きな事、ワクワクする事をして幸せに生きる。
見本になるのが我々大人の役割のはず。
私も反省する事ばかり。
でも、子どもが大きくなった時、
「お父さんみたいになりたい!」
と言ってもらえる大人でありたいです。