今から30年前、

レストランで珍しいものを食べるだけで、

新しいゲームを買っただけで、

羨ましいとされた時代があった。

 

私よりもっと上の世代の人は、

玉子やバナナが高くて食べられなかったとか、

ジーンズが買えなかったとか、

もっと色々あったはず。

 

昔の人ほど、

お金がなくて欲しい物が買えない抑圧に晒されて、

貧乏コンプレックスが醸成されてきた。

 

そんな貧乏を苦しんだ経験のある人ほど、

昔は買いたくても買えなかった

高級車・大型バイク・時計・海外旅行にお金を使ったり、

必要以上の年収・お金の所有を目指す傾向にあるように思える。

 

 

しかし今ではみんなが豊かになって、

数万円する高級料理も、

数十万円の海外旅行も、

200万円程度の車を所有するのも、

身近で普通の事になった。

 

さらに、

シェアリングエコノミーが広がって、

所有の価値が薄れた。

 

数千万円する高級車も、

数億円する豪邸も、

1日・数万円で借りられるようになった。

 

「成功者=お金持ち=幸せ」

という昔ながらの共通認識はもはや崩れ、

贅沢が言うほど羨ましいとされなくなった。

 

貧乏コンプレックス解消のために贅沢をしたり、

高い年収・高級品の所有を自慢できるような時代は、

ほぼ終わりを迎えているような気がする。

 

 

そんな今、

認められたい欲求を満たしやすい(羨ましがられやすい)のが、

インスタ映えに象徴されるような

時間・体験に関わるもの。

 

ベースにあるのが、

勉強・仕事・子育てetcで忙しくて、

好きな事・やりたい事ができない抑圧で醸成されたコンプレックス。

 

それが、好きな事・やりたい事を

時間や他人の目を気にせずに自由にやっている人に対する憧れ

(インスタ映え)に繋がっているように思える。

 

お金・モノから、

機会・体験へ。

 

ニーズが移り変わっている背景には、

コンプレックスの変化がある。

 

 

贅沢に憧れる人はいるけれど、

そもそも贅沢とは、

必要以上の分に過ぎた消費。

 

非日常の刺激を味わうために、

たまにはいいかもしれないけれど、

本人の分に合わない過度の贅沢は体にも心にもよくない。

 

贅沢し過ぎるから、

太って体を悪くする。

 

お金に振り回される。

 

やりたくない仕事をする必要に迫られる。

 

忙しくなってイライラする。

 

必要以上のお金、豪華な家、

豪華なモノ、豪華な食事 etc、

それらは本来不必要なもの。

 

逆に今は、エコの意識が浸透し、

必要以上に所有してムダ遣いをする事が、

カッコ悪いという風潮さえあるように思える。

 

若い世代ほど贅沢に価値を、

感じられなくなっているのではないだろうか。

 

 

ではインスタ映えの次に来るブームは何だろうか?

 

よく考えると、贅沢も、インスタ映えも、

行動のベースにあるものは同じ。

 

それは他人の評価。

 

インスタ映えのために

わざわざ手間暇をかけてする行動はある意味、

「羨ましがられたい」

「チヤホヤされたい」

という必要以上の認められたい欲求から来ているように見える。

 

それはつまり心の贅沢。

 

「いいね」をどのくらい押されたか?

どれだけ多くの人に見てもらえたか?

 

必要以上に気にする事は心に悪い。

 

これは会社・仕事にも通じる。

 

どれだけ多くの人に高く買ってもらえたか?

どれだけ周りに評価される成果を出せたか?

 

という他人評価を気にし過ぎる事で、

本来の目的や、一番大切なはずの自分の心を見失う。

 

 

「ありがとう」と言ってもらいたい気持ちは誰にでもある。

でもそれは、自分の幸せの延長線上になければ意味がない。

 

「SNS疲れ」に象徴されるように、

自分の感情よりも、

他人の感情に振り回されるのは苦しい。

 

インスタ映えのブームは、

自分の感情を疎かにする苦しさから

贅沢自慢と同じように、

もうすぐ終わりを迎えるはず。

 

 

お金に縛られている人が多かった昔。

 

時間・他人の評価に縛られている人が多い今。

 

そして、お金にも、時間・他人の評価にも

縛られなくなっていくであろう今後。

 

それらにコンプレックスのない

新しい時代の若者達はきっと、

もっと自己満足・自己実現の方に向かっていく。

 

それはきっと、

一人一人が独自路線をいく

アーティスティックな世界観。

 

「損得」「他人の評価」に依存せず、

我が道を突っ走っている感・独自性に憧れが集まる。

 

それはある意味、

クレイジーな人。

クレイジーなモノ。

 

「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のような、

他人の目を気にせずに、

評価されなくても独自路線を突っ走っている人に憧れ、

賞賛・応援する風潮になっていく。

 

それは別に多数派でもなく、

笑えるかどうかもわからず、

狙って取りにいくようなインスタ映え的にはあり得ない

一般ウケするかどうかもわからないマニアックな何か。

 

そんな何かを生み出せる、

賛否両論ある中で他人の目を気にせず攻められる人が、

時代を席巻していくはず。

 

 

お金に対する価値観が大きく変わって、

会社・仕事に対する価値観も変わってきている。

 

儲かる事が正しいという訳でもなく、

多数に評価される事が正しいという訳でもなく、

もっと何でもありのカオスになっていく。

 

新しい未来に対するドキドキ感とワクワク感。

 

大切な事は、そんな中で自分がどう人生を楽しむか?

 

自分軸を強く持って、共に我が道を突っ走っていきましょう。