「好きな事を仕事にしたらいい」

と言われると、

楽な事のように聞こえる。

 

でもそれは

「長時間本気でやり続けても苦にならない事を仕事にする」

という意味でもあるので、

楽ではなくて仕事時間・密度は増える。

 

では、

楽な仕事が人気かと言うとそうでもなくて、

子供達が憧れる職業を見ると、

プロスポーツ選手・医者・youtuber など、

意外にハードな仕事が多い。

 

結局、仕事でも趣味でも、

本気で頑張っている人は魅力的だという事なんだと思う。

 

 

たとえ本人は

頑張っているつもりがなかったとしても、

本気で夢中になれる何かを持っている人の言動は心を動かす。

その強いエネルギーで作られた作品は人を感動させる。

 

人は楽かどうかではなく、

仕事をしている人の魅力・エネルギーに共鳴するように、

突き動かされていく。

 

そう思うと、昔はある意味、

家族のため・生活のために、

本気で頑張れる環境が整っていたのかもしれない。

 

一生懸命仕事をして稼いでくるお父さんは、

強くて威厳があった。

 

一生懸命に大変な家事をこなすお母さんは、

尊敬されていた。

 

それは、子供達に

「楽そうだから公務員・専業主婦になりたい」

ではなく、

「お父さん・お母さんを手伝いたい」

「もっと楽にさせてあげたい」

と強く思わせる事に繋がっていたんだと思う。

 

 

それが今は豊かになって、

本気で頑張る必要性がなくなった。

本気で頑張る機会が減った。

 

そのため、

夢中になれる何かを見つけられた人と

そうでない人の魅力の格差は

とても大きくなってきているように思える。

 

夢中になれるものがない人ほど、

暇を持て余し、斜に構え、

将来に対して悲観的に考える。

 

何かに夢中になって

人生を楽しんでいる人に嫉妬する。

 

でもよく考えると、

何か夢中になっている人は

お金・時間をその何かに注ぎ込んでいる分、

使えるお金が少なくて忙しい傾向にある。

 

逆に何にも夢中になっていない人ほど、

お金・時間を注ぎ込んでいない分、

お金・時間があって豊かに見える傾向にある。

 

だから外からの評価と本人の幸福感が

チグハグであるケースも多い。

 

「貧乏暇なし」と言うと、

悪いイメージだったかもしれないけれど、

これからの時代は、

時間・お金を注ぎ込めるほど

夢中になれる何かを持っている

幸せな人を指す言葉になるのかもしれない。

 

 

そんな家族のため・生活のため

本気で頑張る必要性が少なくなった時代に、

本気で頑張れる機会を生み出しているのがエンターテイメント。

 

ヤンチャだった人が

部活・スポーツで更生されるケースがあるように、

趣味やゲームはエネルギーの発散場所の1つ。

 

エンターテイメントが

なぜ本気で頑張れるかというと、

戦う相手やライバルがいて

競い合う事ができるから。

 

チャレンジして勝った負けたを繰り返し、

失敗を経験する事で人は成長する。

 

そこには

自分とは違う相手と、

新しいやり方・意見を

ぶつけ合わせる事で、

また新しい何かを生む喜びがある。

 

そんなスポーツ・ゲーム・音楽 etc、

本気の発信・ぶつかり合いは

人を夢中にさせて引き込む。

 

子供達がプロスポーツ選手やyoutuberに憧れるのも

彼らが本気で何かに夢中になっている姿を

発信しているからこそ。

 

本気で夢中になってやっている仕事は、

長時間取り組んでも苦にならない。

 

働いていても、

どこまでが仕事で、

どこまでが趣味かも

わからなくなるほど。

 

そしてそんな

「強いエネルギーの発散場所=自分の居場所」

になる。

 

プロスポーツ選手もyoutuberも

業務時間にとらわれず、

朝から晩まで夢中でのめり込んでいたりするのに、

それがなぜか会社での仕事だけは

朝から晩まで夢中でやっていると

ブラック企業と認定されてご法度とされる。

 

さらに、働き方改革で、たくさん働きたくても、

有給を強制的に消化させられるようになる。

 

経営者や猛烈社員にとって仕事は、

人・モノ・金を使ったゲームのようなもの。

 

コンサルタント・クリエイター・職人 etc、

仕事が好きで好きでたまらなくて夢中になっている人から、

一律的に1つのルールで、

その環境を取り上げてしまうのはもったいないような気がする。

 

 

今でも結局、

遊ぶように仕事をしている人は強い。

 

学校の延長線上のノリで働く若者が増えてきたように、

アルバイト・仕事が、

暇つぶし・エンターテイメントの1つに移り変わりつつある。

 

楽してたくさんお金が稼げる事も

就職先を選ぶ基準の1つでもあるけれど、

多少給与が低くても、休みが少なくても、

やりがいのある楽しい仕事であれば人が集まる。

 

それが会社の仕事ではなく、

オンラインサロンでも、

ボランティアでも、

誰かの役に立ちにくくなった時代に、

「あなたの力が必要です」

と言ってくれる人に人が集まる。

 

会社での仕事が不自由になればなるほど、

会社という括りではなく、

趣味・プロジェクトという括りで、

自分が誰かの役に立てて、

夢中になれて楽しい活躍の場を提供してくれるところに

ドンドン人が集まっていくようになっていくはず。

 

 

家事や仕事が昔に比べてだいぶ楽になって

時間が取れるようになったからこそ

家庭や会社に自分の居場所を見出せなくなって、

ゲーム・SNS・コミュニティなどに

自分の居場所を見出す人が増えた。

 

夢中になれるものが見つけにくい中、

とても身近な事で夢中になれる何かに気付かせてくれるのが

プロスポーツ選手やyoutuber。

 

楽で儲かる仕事がいいと勧める安定志向の親を見て、

朝から晩まで休みなく働いている

スポーツ選手やyoutuberになりたいと子供が言うのは、

ある意味すごく皮肉な事かもしれない。

 

 

仕事は苦しいからできるだけ

楽に儲かる方がいいという考え方は、

多くの日本人には合っていないような気がする。

 

物語でも戦う相手がいるからこそ

味わえる面白さがある。

 

「毎日みんながハッピーに暮らしてます」

だけでは刺激がなくて、

ワクワク感もドキドキ感も味わえない。

 

アンパンマンも、

バイキンマンみたいな悪役がいるからこそ

物語が成立する。

 

人が旅をしたり、

チャレンジしたりするのも、

心地よい刺激が味わえるからこそ。

 

 

 

今までの自分だったらやらなかった事に取り組んで、

今までの自分だったらできなかった事が

できるようになるのが成長。

 

そのプロセスに

多少の気持ち悪さやドキドキ感があるのは当たり前。

 

逆にそれがなかったとしたら、

成長していないかもしれない。

 

少なくとも

「私の考えと違うからやらない」

「常識的におかしい」

「やった事がないからできない」

なんて言っていったら成長できない。

 

今までと違う行動をするから違う結果が出る。

 

自分との違いを受け入れて行動してこその成長。

 

そう思うと、

想定内の事しか言ってこない

まともな”いい人”ばかり相手にしていては

なかなか成長できない。

 

時には

・ 気が狂った社長や上司

・ ムチャ振りをしてくるお客様

を相手にして、

・できるかどうかわからない仕事

・逃げられない厳しい品質、納期

があるからこそ

成長に繋がるやりがいのある仕事になる。

 

 

ワクワク感とドキドキ感は表裏一体。

 

プロレスで悪役が必要なように、

旅でも、趣味でも、ゲームでも、仕事でも、

多少の理不尽があるからこそ面白い。

 

そもそも会社は

みんなで立ち向かわなければできない

大きなリスクを乗り越えるために

必要とされてできたもの。

 

それがなんでも守りに入るようになって、

リスクを取れなくなった時

会社はその必要性をなくす。

 

リスクを取ってチャレンジする喜びを味わっている人や、

障害を乗り越えるために頑張っている会社と共に成長していきたいです。