「お金持ちになりたい」

と言う人はいるけれど、

良いか悪いか別にして、

それは一生叶わないものなのかもしれない。

 

なぜなら、お金持ちという概念が相対的なものだから。

 

年収1000万円を目指している人が、

年収1000万円を手に入れても、

もしその時インフレしていて、

サラリーマンの平均年収が1000万円だったら満足できない。

 

また、現在の年収500万円の人の生活と、

20年前の年収1000万円の生活を比較すると、

現在の年収500万円の生活の方が裕福。

 

昔の人が買えなかったもの・欲しがっていた環境が、

現在ではとても簡単に手に入るのに、

「お金持ちになりたい」と言う人は、

そこに幸せを感じられていない。

 

そう考えると、

「お金持ちになりたい」と言う人は、

「現在の自分のまわりにいる人と比較して、裕福な暮らしをして認められたい」

というのが根本の欲求であるような気がする。

 

しかし、それもなかなかうまくいかない。

 

なぜなら、自分がお金持ちになるにつれて、

付き合う人もお金持ちが増えるから。

 

収入が増えたところで、

そこで付き合う人達と同じように、

高い交際費を使って、

子供を海外留学させる事になって、

お金に困るようになりがち。

 

 

誰かと比較して何かを目指すのは

わかりやすくはあるけれど、

上には上がいる分、

ゴールがドンドン変化していく。

 

だから、それなりのお金持ちになっても満足できない。

「お金持ちになりたい」と言う人が思うお金持ちには辿り着けないまま、

どこかで疲れて諦めてしまう事になりがち。

 

 

実際、お金持ちと言われるような人に、

「○○さんってお金持ちですよね?」

と聞くと、

「借金も数億円あるけど、それでもお金持ちって言うの?」

「収入がマイナスの時もあるんだけど。」

「税金のために働いているようなものだよ。」

などと笑って言う。

 

お金持ちの人ほど、

他人と比べてお金持ちである事に

執着していないような気がする。

 

 

結局、相対的な何かを求める限り、

それは世界で1位になるところまで続く。

 

世界1位になったら終わるかと思いきや、

今度はそれを守るプレッシャーに晒される事になる。

 

 

それはお金だけではなくて、

きっとすべてに同じ事が言える。

 

「いい家に住みたい。」

「カッコいい車が欲しい。」

「キレイな彼女が欲しい。」

「優しい旦那が欲しい。」

 

相対的な何かを求めている限り、

どんなに素晴らしいものを手に入れても、

それ以上のものを見つける度に不満に感じる。

 

 

会社も同じ事。

 

短期的な刺激としてはいいかもしれないけれど、

競合に勝つ事や、シェアトップなど、

相対的な数字を長期的に追い求め続けると、

苦しくなってしまいがち。

 

後出しジャンケンが可能なビジネスの世界。

 

マーケットの中でシェアトップの会社が

大きく儲かる環境がある以上、

自社が競争に勝って儲かったところで、

マーケットが拡大すれば、

より強いものがより大きな資本で参入してくる。

 

それは、他人を蹴落として上に行くような

ゼロサムゲームのような競争。

 

数字を目的にしていては、

やりがいが感じられなくなって、

長続きさせにくい。

 

会社においてみんなが仕事を楽しめなくなってしまう大きな理由の1つは、

社長が別にやりたくもないのに、本気でもないのに、

相対的な目的を掲げてしまうからだと思う。

 

社長が、

「会社を守るために地域トップを目指す」

などと言ったら注意信号。

 

他社と比較してトップになったり、

他社と比較して数字を上げる事自体に、

三方良しになるようなワクワクするゴールはない。

 

だからそれはきっと、

社長が本当にやりたい事ではない可能性が高い。

 

 

誰かのために今までにはなかった製品を作ったり、広めたりするような、

絶対的なゴールが見えるものの方がワクワクしやすい。

 

社長がそんな心の底からやりたい事に向かって舵を切っていれば、

社長のワクワク感が社員に伝染して、

仕事は充実して楽しいものになる。

 

やりたい事を手伝ってくれる社員、

応援してくれるお客様・支援者に、

自然に心からの感謝ができて会社はうまく回る。

 

たとえ厳しい目標があったとしても、

それが世のため人のためになるプロセスだと共有できていれば、

誰かに喜んでもらえるイメージ・ワクワク感でやる気を保ちやすい。

 

それが、誰も喜ばないような、

なんだかよくわからない目的のためだと、

みんなのやる気を長続きさせるのは至難の技。

 

会社の雰囲気はドンドン悪くなっていってしまう。

 

 

仕事の楽しみも、人生の楽しみも、

本当にやりたい事を突き詰めていくプロセスにある。

 

今、自分がやりたい事をやれていないと認識できていれば、

そのうちやりたい事は見つけられる。

 

自分がやりたい事をやれていないのに、

「やりたい事ができている」と自分にウソを付いていると、

「やりたいはずの事」が目の前にやってきても

そのチャンスを掴めない。

 

 

本当にやりたい事にチャレンジしているのであれば、

今、何かに困っているはず。

 

困っているからこそ、

誰かに何かをしてもらう事に

心の底から感謝ができるはず。

 

それが、やりたい事をできているかどうかの1つの判断基準。

 

相対的な目的・目標に踊らされすぎず、

本当にやりたい絶対的な目的・目標を設定する事。

 

設定できないのであれば、

できていないと認識したままでいれば大丈夫。

無理に焦らない事。

 

ただそれだけで、

もっと仕事・人生を楽しめる人が

増えていくような気がします。