売上をあげるために頑張っている社長に、
「なぜ売上をあげたいんですか?」
と聞くと、
「社員の給与を増やしてあげたいから」
と言う人が多い。
そんな社長に
「なぜ給与を増やしてあげたいんですか?」
と聞くと、
「給与を増やしたら社員は喜ぶでしょ!」
と言う。
「給与増やしたら本当に社員は喜ぶんですか?」
と聞くと、
「そんなの給与増えたら喜ぶに決まっているでしょ!」
と言う。
同じ仕事で給与が増えたら、確かに社員は喜ぶかもしれないけれど、
「本当にそれでいいの?」と私は思う。
給与を増やす事は大切だけれど、
それは1つの手段であって、
本当に社員に喜んでもらう事を考えるなら、
他に優先すべき事はたくさんある。
実際、私も今までたくさんの人と話をしてきたけれど、
本当に生活に困るレベルでお金に困っている人は今時ほとんどいない。
大企業で高い給与をもらっているのに不満ばかりの人もいれば、
給与が低いのに仕事が楽しくて会社に感謝してばかりの人もいる。
年収2000万円・子ども1人で、お金が足りなくてヒーヒー言っている人もいれば、
年収200万円・子ども4人でも、楽しそうに暮らしている人もいる。
突然の親の介護や、病気等でどうしようもない人もたまにはいるけれど、
子どもの大学資金や住宅ローンでお金が足りないというのはただの準備不足。
ほとんどが給与の問題ではなく、お金に対する知識不足から来る浪費が原因だったりする。
それなりに高い社員の給与をさらに増やすために頑張って、
それでも言うほど社員に感謝されない社長を見ていると、
キャバクラ嬢に高いブランドバッグを貢ぐ人と同じに見える事がある。
家族との時間を犠牲にしてまでキャバクラ通いをする人と、
値上げをして、サービスの質を落とし、お客様を犠牲にしてまで、
社員の給与を上げようとしている社長はきっと似ている。
お客様よりも社員がかわいくなりすぎてしまって、
会社が存在する本来の目的を忘れてしまっている社長は意外に多い。
そんな社長が社員の給与を増やしてあげたい本当の理由は、
「社員に高い給与を払ってやっている」という、
社長自身のプライドを満たしたいからなのかもしれない。
社員に喜んでもらうために、本来やった方がいい事は、
「お客様に喜んでもらいやすくするサポート」。
社員同士のチームワークを発揮しやすくしたり、働きやすい環境を整えて、
社員が「お客様に喜んでもらえる喜び」を最大限に感じてもらえるようにする事。
それで喜ばない社員がいたとしたら、会社のコンセプトとズレている証拠。
休みを増やしたり、給与を増やすのは、社員が仕事に集中しやすい環境を作る手段の1つ。
ただ単純に社員を喜ばせたからといって、それでお客様がさらに喜ぶようになるとは限らない。
社長にとって社員がかわいくなりすぎる事によって、
会社のあるべき姿は少しずつ歪んでいくような気がする。